仕立て屋


町のはずれに

小さな仕立て屋が住んでいます。


彼は一日中

窓辺に座り、

針と糸を動かしています。


ガラスの向こうで

その姿は

わずかに揺れて見えます。


けれど、

歪んでいるのは

世界ではありません。


世界は

いつも同じように

そこにあります。


ただ、

一枚のガラスが

そこにあるだけ。


世界と彼のあいだに、

薄く、

静かに。


人はときどき、

世界そのものではなく、

自分と世界のあいだにある

その小さな隔たりの中で

ひとりになるのです。


彼には

まだ

友だちがいません。