英雄

 

仕立て屋は

巨人から受け取った皮で

服を仕立てました。


それを見た人々は、

彼が巨人を倒した

英雄だと信じました。


人々は

同じ方向を向き、

光に背を向けています。


人はときどき、

真実よりも

信じたい物語の方を

選ぶものです。


その物語は、

世界を

静かに形づくっていきます。


けれど

仕立て屋だけは、


その真実を知りながら、

ただひとり

光の方を見ていました。